著者
岡部 祐介
出版者
関東学院大学経済学部・経営学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 = Nature-people-society, Science and the humanities : 関東学院大学経済学部・経営学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.65, pp.15-37, 2018-07

本研究は、スポーツにおける勝利至上主義という用語の成立および定着過程に着目し、当該用語が使用されることの社会的意味を明らかにすることを目的とした。まず、勝利至上主義の問題に対してどのような見解が発信されてきたのか、スポーツの学術研究領域やスポーツ批評における議論を取り上げて検討し、次に勝利至上主義が社会一般においてどのように捉えられてきたのかを明らかにするために、メディア言説の分析から当該用語の使用状況を明らかにした。〈勝利至上主義〉は、1980 年代以降に成立し、スポーツの大衆化志向や生涯スポーツの実践を喚起するような市民的性格を内包するとともに、近代スポーツを相対化し、新たな論理・構造を備えたスポーツが構想されるような組換装置として機能していると考えられた。
著者
橋本 健広
出版者
関東学院大学経済学部・経営学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 = Nature-people-society, Science and the humanities : 関東学院大学経済学部・経営学部総合学術論叢 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-12, 2019-01

本論の目的は、コウルリッジが劇詩『悔恨』において、ロマン派的想像力の理想として展開する「時と場所を制御する想像力」がいかなるものであるか、また劇的幻想を実現するために時と場所を制御する想像力をいかに重要視しているかを示すことである。『悔恨』にみられる想像力は「精神の空間」と「常に漂うイメージ」の二種類がある。これらのイメージはその性質上、舞台でのパフォーマンスに不向きであり上演時に削除されたが、コウルリッジは書籍版の『悔恨』を作成するにあたり削除されたイメージの多くを再挿入している。このことはコウルリッジが時と場所を制御する想像力を重要視している証拠となるだろう。